INTERVIEW|PLAYWORKS 視覚障害リードユーザー インタビュー

PLAYWORKS株式会社は、障害者など多様なリードユーザーとの共創からイノベーションを創出する、インクルーシブデザイン・コンサルティングファームです。
今回は数々のインクルーシブデザイン・プロジェクトに参画してきた、リードユーザーの中川・加藤・仲里の3名に、「リードユーザーとして印象に残っている活動」「苦労したこと・良かったこと」「リードユーザーに興味がある視覚障害者へのメッセージ」などを聞きました。
PLAYWORKS 視覚障害リードユーザー インタビュー
中川テルヒロ NAKAGAWA TERUHIRO

リードユーザーの想いを起点に、イノベーションへ伴走する。
視覚障害リードユーザーとして大手企業のプロジェクトに参画。エンジニアとしてソフトウェアの開発を行いながら、視覚障害者ならではの視点を活かして活動中。10歳頃から徐々に視野と視力を失い、現在は左目が全盲、右目は中心部のみが見える。
Q. これまでに参加したプロジェクトで、印象に残っているリードユーザー活動は?
一番印象に残っているのはソニーのXRキャッチボールです。このプロジェクトは最初のワークショップから参加しました。当時、目が見えなくてもチャレンジしたいこととして「息子とキャッチボールがしたい」という話をしました。数か月後、試作品を実際に体験し、フィードバックをしました。さらにアップデートされたプロトタイプでは、空間を超えて遠い場所の人ともオンラインでキャッチボールができるようになっていて、イベントなどで公開されました。アイデア出しからイベントでの発表、登壇まで一貫して参加できたことが印象に残っています。
他にも家電メーカーのオーディオ機器や、商業施設のアクセシビリティ、Webサイトのアクセシビリティなどのプロジェクトに参加してきました。
Q. これまでに参加したリードユーザーの活動で苦労したことは?
生活していく上で、うまくいかないことや時間がかかることはありますが、対処しながら暮らしています。どれが本当に困っていて、どれなら工夫してできるかということが自分では分かりにくくなっているのかもしれないですね。だから、「困りごとは何ですか?」ではなく「工夫していることは何ですか?」と質問してもらえたら答えやすいですね。
自分の経験としての困りごとや苦労したことは話しやすいですが、他の人はどうなのかは知ろうとしないと分かりません。自分以外のいろいろな視覚障害者に会って、どのように生活しているのかを聞くようにしています。実際の現場やワークショップなどで話せることがあるので、聞いておいて良かったなと思うことが多々あります。
Q. これまでリードユーザーとして活動してきて、良かったことは?
プロジェクトに参加する中で、自分にとっての当たり前を言語化する機会になっていますし、普段できない経験がいろいろとできることがとても貴重です。ソニーのXRキャッチボールでは、東京ドームで巨人の選手と遠くの病院の子どもたちとをオンラインでつなぐイベントがありました。東京ドームの現場にも立ち会わせてもらい、視覚障害リードユーザーとしてプロジェクトに参加していなかったら、できなかった経験だろうなと思います。そして、普段の生活の中では家族や視覚障害の友人、職場の人間関係に収まりがちですが、リードユーザーの活動を通じて、いろいろな企業の人と触れ合えることで自分の幅を広げてくれているなと思います。
Q. リードユーザーとしての活動に興味がある視覚障害者にメッセージをお願いします
いろいろな視覚障害者がいて、自分なんか・自分なんてと思う人もいるかもしれませんが、その人自身が持っている意見や経験を言葉にすることだけで価値があります。自分から積極的に発信して、たくさんフィードバックを受けて参加して欲しいと思います。「視覚障害を1つのきっかけにして新しい体験をすることができる」という風に捉えると良いと思います。障害者ひとりひとりに可能性があると思っていて、リードユーザーとしての活動はこれからの伸びしろ、可能性はまだまだ広く大きいと思うので、ぜひ一歩踏み出して一緒に参加、活動してもらえると嬉しいなと思います!
加藤 健人 KATOKEN

リードユーザーの一言が可能性を拓き、社会を動かす力になる。
視覚障害リードユーザーとして、様々なワークショップに参加。元ブラインドサッカー日本代表。ブラインドサッカーの経験を活かし、子どもから大人までブラインドサッカーの体験会や講演などを行っている。高校生の頃から遺伝性の病により、徐々に視力が低下。現在は光を感じる程度。愛称は「カトケン」。
Q. これまでに参加したプロジェクトで、印象に残っているリードユーザー活動は?
自分も様々な企業のプロジェクトに参加させていただいているんですけれども、印象的だったのはスポーツジムでのワークショップですね。ただ話し合うだけではなく、実際にジム内をスタッフの方と一緒に移動して体験していきました。最初はマシンがどこに何があるか分からないのですが、慣れていけば大体は一人で使うことができます。自分の体を鍛えるために使用するマシーンは普通に使えるのですけど、それに驚かれました。あとは、スペースが狭かったとか、誰かが使っている場合にどうするか、という課題が見えてきました。
他には、アプリのアクセシビリティや、家電メーカーのオーディオ機器などのプロジェクトが印象に残っています。
Q. これまでに参加したリードユーザーの活動で苦労したことは?
ワークショップではグループに分かれた際の最初のコミュニケーションが大事だと思います。参加される方々にどう声をかけるか、どんな話をしようかというのに悩みました。相手も自分のことを理解する前なので、どんな風に見えているんだろうというのもありますし、ここでうまく盛り上げられたらその後もうまくいくと思っています。
自分の場合は、まず簡単な自己紹介をします。例えば、テーブルの上に「何か置いてありますか?」と聞いたり、「参加者は何人来ますかね」など、たわいもない会話から入って、見え方を説明したりしています。また、自分の経験の話をしても、他の視覚障害のある方が皆そうというわけではないことを伝えるようにしています。
Q. これまでリードユーザーとして活動してきて、良かったことは?
リードユーザーとして活動していないと繋がれない方々が多いので、その出会いは大きいなと思います。そして、相手に伝わる言語化や、皆さんがどのように思っているかっていうのを聞き取る能力、聞き上手になって引き出すことも大事になってきます。コミュニケーション力を上げていくところも、経験として良かったと思ます。
Q. リードユーザーとして活動する価値は何ですか?
リードユーザーとしての活動には、すごく可能性を感じています。企業の方々とコラボレーションすることで、さまざまなことが実現できそうだなと毎回思います。視覚障害リードユーザーとして、その現場に関わることに、とてもやりがいと価値を感じています。
Q. リードユーザーとしての活動に興味がある視覚障害者にメッセージをお願いします
自分自身、17歳の頃に視力が低下していき視覚障害者としてこれから先、何もできないのではないか、自分なんて必要ないのではないかと思っていました。ブラインドサッカーをきっかけに少しずつ気持ちが変化して、社会の流れも影響してリードユーザーとして活動していく中で、自分でもできることがあるんだ、自分でも必要とされているんだということを感じました。リードユーザーとしての経験や一言が、社会を変えるきっかけになるかもしれないという夢があり、非常にワクワクして楽しいなと思っています。
自分の経験だけでなく様々な方が参加して、もっと良い社会になっていくために、たくさんの障害のある方にリードユーザーとして参加してもらいたいです!
仲里 美希 NAKAZATO MIKI

見えにくさを“専門性”に。暮らしの気づきが、みんなの安心になる。
視覚障害リードユーザーとして、複数のプロジェクトに参加。鍼灸マッサージ師として勤務する傍ら、関西を中心とした視覚障害者の集まり「きららの会」で活動中。20代半ばに黄斑ジストロフィーを発症し、ロービジョンとなる。左右とも視力は0.07で拡大や音声読み上げを活用している。
Q. これまでに参加したプロジェクトで、印象に残っているリードユーザー活動は?
私も複数の家電メーカーのプロジェクトに参加してきました。オンラインで参加する場合も、実際にメーカーの会社に伺うこともありました。両方とも共通していることは、実際に家電製品を私たち視覚障害リードユーザーが使うことです。オンラインであれば、商品が家に届いて段ボールから開封し、説明書を読みながら設定、利用する様子を観察していただきました。対面では実際に調理家電を使用して、調理を行ったりしました。私の場合、ぼんやりとしか見えていないので、物があることや色の判別はできるのですが、初めて触る製品であれば操作方法が分からないので、説明書を拡大したり、実際にボタンをすべて触ってみて確認したりなど把握するのに時間がかかりました。
Q. これまでに参加したリードユーザーの活動で苦労したことは?
ワークショップでは、私たち視覚障害者の実情や生活についてインタビューを受ける時間があるのですが、「困っていることはありますか?」という質問に何を答えようかなと戸惑っています。あるのだろうけれど、これが困っていてみたいなことがないのがリアルな現状です。
特に私は弱視で白杖も使用していないので、困っていなさそうに見えるみたいです。視覚障害=全盲というイメージを持たれる方がほとんどなので、私のような見えにくさの人もいるというのを毎回説明しています。弱視にもいろいろな見えにくさがあって、その見え方を説明するのは本当に難しいです。
私は20代半ばまで視覚障害とは縁のない生活をしていたのですが、いざ自分がその立場になってみてから盲学校に入学し、3年間過ごしました。その時に初めて自分以外の視覚障害者と触れ合う機会があり、この経験は視覚障害の全体の話をする時に役立っています。
Q. これまでリードユーザーとして活動してきて、良かったことは?
自分の普段の生活であまり気に留めていなかったことが、ワークショップでは「もう少し詳しく聞かせて」ということがありました。そのような時にきちんと言語化できないと、うまく伝えることができないので、普段感じていることや何気なく見ていること、自分が困ったことをアウトプットできるように、頭の中で考えて言語化する癖がつきました。
Q. リードユーザーとして活動する価値は何ですか?
私は弱視なので家電器具の説明書を読んだり、小さなボタンの文字やディスプレイの表示が見えなくて困ることがあります。そのような時、視覚障害者だけではなく文字が読みづらいお年寄りや子ども、外国の方など、幅広い方々にも当てはまるという気づきもありました。自分はまだお年寄りというイメージはなかったけれども、自分の祖父母の気持ちが分かるようになって良かったなと思いました。
Q. リードユーザーとしての活動に興味がある視覚障害者にメッセージをお願いします
社会人になってからずっと専門職で、専門性を高めるために勉強することが当たり前だと思っていました。しかし、リードユーザーの活動をする中で、視覚障害も自分の専門性だと捉えることができるようになりました。自分から情報を取りに行ったり、知識を勉強したりせずとも、普段の生活で起きていることを周りの人に伝わる形でアウトプットできれば、人の役に立つことができる。自分の中にもう1つ専門性ができたなと、嬉しく思いました。
今回の3名はそれぞれ違う見え方で、違う背景があって、違う場所で生活をしているので、それぞれのお話が個性であり専門性になると思います。なので、どんな方でも専門家としてリードユーザーの活動ができると思います。他にもたくさん仲間が増えると嬉しいです!
PLAYWORKS認定リードユーザー 説明会
PLAYWORKS株式会社はインクルーシブデザイン・アクセシビリティに関するプロジェクトに、リードユーザーとして参画したい視覚障害のある大学生を募集します。リードユーザーとしての活動にご興味ありましたら、説明会にご参加ください!
※現在は視覚障害のある大学生を対象としています。他の障害、成人については、今後の展開で検討してまいります。
説明会 申込フォーム
実施時期:2026年春頃を予定
場所 オンライン(Zoom)
対象者:視覚障害のある大学生
説明会に参加希望の方は、以下フォームよりお申し込みください。
https://forms.gle/tn83WTwY65ZXJunW9
本件に対するお問い合わせ・取材依頼は お問い合わせよりご連絡ください。




