REPORT|視覚障害者対象:画材やペン・絵画表現に関するアンケート
ぺんてる株式会社 と PLAYWORKS株式会社 では、「INCLUSIVE DESIGN PROJECT:視覚障害者と表現するよろこびを探究する!」を実践中です。今回は、事前リサーチとして実施した「視覚障害者対象:画材やペン・絵画表現に関するアンケート」結果の一部を公開いたします。 (すべてのアンケート結果や詳細、アンケート結果を使用されたい場合は、PLAYWORKSまでお問合せください)
視覚障害者対象:画材やペン・絵画表現に関するアンケート
実施期間:2021年8月14日〜9月7日
調査方法:Webアンケート
回答者:視覚障害者 136名
共同実施:ぺんてる株式会社・PLAYWORKS株式会社
設問
● 日常的に絵を描く機会
● 日常的に絵をまったく描かない理由
● 絵を描く事に関する良い思い出
● 絵を描く事に関する嫌な思い出
● 使用している画材やペン
● 絵を描く上で困る事や大変な事
● 絵を描く上で工夫している事
● 日常的にもっと絵を描きたいと思いますか?
● 日常的にもっと絵を描きたい理由
● 日常的にもっと絵を描きたいと思わない理由
● 「理想の画材」「理想のペン」と聞いて、どのような物を想像しますか?
回答者:視覚障害者 136名
障害の等級
● 1級 73名(53%)
● 2級 48名(35%)
● 3級 5名(4%)
● 4級 5名(4%)
● 5級 0名(0%)
● 6級 0名(0%)
● その他 5名(4%)
発症時期
● 先天 61名(45%)
● 中途 75名(55%)
日常的に絵を描く機会
● ほぼ毎日 3名(2%)
● 週に1回程度 11名(8%)
● 月に1回程度 10名(7%)
● 半年に1回程度 13名(10%)
● 年に1回程度 13名(10%)
● 数年に1回程度 16名(12%)
● まったく描かない 70名(51%)
→ 視覚障害者の過半数は日常的に絵を描いていない
日常的に絵をまったく描かない理由(自由回答)
● 対象物や絵が見えないから
・描きたいが見えなくなってきて辛いから。
・視力が落ちてきたこともありますが、色弱で色の違いが分かりにくくなってきたから。
・描いてみたいと思うのですが、描いたものが見えないのでどのようにできたか確認できないため、今は描いていません。
● 描く機会・必要性がないから
・見えないので描けないというのもあるが、特に描きたいと思うこともないので。でも、見えなくても簡単に描けるやり方があるなら知りたいと思う。
・視力が低下したことによってペンを持って描くことを感覚的に、日常的に忘れてしまっているから。
・絵で何かを伝えようと思わないから。たぶん、絵で描いても伝わらないだろうと思っている。
● 描く意欲が湧かないから
・目が見えなくなったら、描く意欲がなくなった。
・いい思い出がないから描きたくない。
● 興味がないから
・見えている時にも、興味が無かった。
・全盲になってから、このアンケートまで、絵を描くことに気づかなかったです。 チャレンジします。
● 上手く描けないから
・自分の思うように描けなさそうだから。
・全盲になる直前で、絵の正確さが失われていくことへの不安がある。
● 面倒だから
・描くまでにハードルが高過ぎること。
・今は絵画を描くことを諦めました。買いに行くのも大変です。
使用している画材やペン(複数回答)
● サインペン・マジック・マーカー・プロッキー 19名
● ボールペン 14名
● タブレット(iPad・iPhone) 13名
● 鉛筆 13名
● 色鉛筆 9名
● レーズライター 8名
● クレヨン・クレパス 8名
絵を描く上で困る事や大変な事(複数回答)
● 色が分からない 34名
● 描いた絵が見えない 31名
● 細かく描けない・ペン先が見えない 15名
● 絵全体が見えない 12名
● 対象物が見えない 6名
● レーズライターに関する困り事 6名
● 塗りつぶしができない・はみ出る 5名
● 思い通りに描けない 5名
● 汚れる 4名
● イメージかつかない 3名
● 間違えても消せない 2名
● 色名などの文字が読めない 2名
● タブレットをうまく使えない 2名
● 紙のガイドが見えない 1名
● 紙にインクが染みる 1名
● 目が疲れる 1名
日常的にもっと絵を描きたいと思いますか?
● とても思う 30名(23%)
● 少し思う 51名(39%)
● あまり思わない 24名(19%)
● まったく思わない 24名(19%)
● 未回答 5名
→ 視覚障害者の過半数は日常的にもっと絵を描きたいと思っている
日常的にもっと絵を描きたい理由(自由回答)
● 絵を描くのが好きだから
・絵を描くのが好きだから、見えなくなった今でも自由に絵を描きたい。
・上手い下手は別として、描けたら楽しいと思うから。
・全盲になった今もできる趣味があると楽しみも増えていいと思う。
● 他者とコミュニケーションを取りたいから
・目が見える友人たちとの会話のきっかけにできると思うから。
・子どもとのコミニケーションにも役立つかと思う。
・イメージを表現すること。誰かと共有し反応をもらうのとでコミュニケーションツールの1つとなったり、自己有用感が高まりストレス解消などに繋がるから。
● 以前のように描きたいから
・見えてた時は描いていたから。
・視力があった頃は描くのが好きで、マンガやイラストもどきをよく描いていたからです。以前のように描いてみたいと思います。
・見えている頃は、年賀状に干支の絵を描いていましたので、また描けるようになればいいなと思います。
● 表現したいから
・表現方法の1つだから。気持ちを表現したり、覚えておきたいことを表現したりするため。
・自分を表現するツールが増えると思うからです。
・自分の思いや見てきた物、感じた物など好きなものを描きたい。
● 技術や創造力を磨きたいから
・上手に描けるようになりたいから。
・思い通りに掛けたら嬉しい、だがそれができないんだ。
・もっとアートを楽しみながら、仕事に活かしたいからです。
● 自分の時間を持ちたいから・自分の世界に没頭したいから
・絵を描くことで時間を忘れられる。周囲を気にせず、自分の世界に没頭することができる。
・芸術を愛しているし、没頭できる時間は素晴らしい。
・絵を描いている時は、他のことを忘れて没頭できるから。
ぺんてる|インクルーシブデザインデザインプロジェクト:視覚障害者との新しい画材開発
https://playworks-inclusivedesign.com/work/work-107