INTERN INTERVIEW 04|向井 貴美
PLAYWORKSのインターンは、クライアントワークやプロジェクトに関わる中で、インクルーシブデザイン・サービスデザイン・ワークショップデザインについて学んでいます。今回は2021年12月からインターンとして活動している、向井貴美のインタビューをお送りします!
向井 貴美 MUKAI KIMI
多摩美術大学 美術学部統合デザイン学科 4年
作ったものを通して人の心を豊かにしたいがモットー。休日に友人と美術館や旅行に行くことが趣味。ポスターや電車広告の収集にもハマっている。日常生活にこぼれる様々なデザインからヒントを得て、問題解決につなげることに楽しさを感じている。
まずは向井さんのことを簡単に教えてください
大学では美術学部統合デザイン学科に所属し、プロダクト・グラフィック・インターフェースのほか、プログラミングを使った体験型のデザインまで幅広く学んでいます。私は幼い頃から引っ込み思案で、自分から何かしようとは思わない性格でした。そのため、行動をしないまま後悔することも多くありました。少しずつ変化が生まれたのは、高校で美術部に入ってからです。自分の作品が受賞したり特選に入ったりしたことで、少しずつ自分に自信が持てるようになりました。
大学受験の際、岡本太郎さんの名言「迷った時は困難な道を選べ」に出会ったことも大きな転機でした。失敗することが怖くて挑戦できなかった過去の自分を改め、行動に移していこうと思ったんです。私は自分にとって困難な道である、美大を目指すことにしました。今まで押し込んできたデザインへの想いをもっと解放したかったし、困難な道だからこそ突き進んでみたいという想いがあったからです。
また現在の学部を選んだのは、色々なことを一度吸収することで、少しずつ自分の進みたい方向性が見えてくると考えたからです。実際に様々なジャンルに取り組みながら、日々デザインの奥深さを感じています。
もう1つ、デザインの道に進んだ大きな理由があります。高校受験の時に他界した、発達障害の兄の存在です。幼少期の頃から、生まれ持った障害のせいで世間に馴染めなかった兄を見て、生きづらい人を助けてあげられる人間になりたいと思っていたんです。「障害福祉 × デザイン」にかかわりを持つことで、間接的に兄を助けられるのではないか? そう考えていました。実現する前に兄は亡くなってしまいましたが、兄が生きているうちにやっておけばよかったという後悔も、「障害福祉 × デザイン」へと自分を突き動かす強い原動力になっています。
PLAYWORKSでインターンをはじめたきっかけは?
大学3年生になり、就職活動に向けて情報収集していた際、インスタグラムでたまたまPLAYWORKSの主催イベント「これからの社会を描くインクルーシブデザイン」の告知を目にしました。もともと大学の選択科目でコミュニケーションデザインを学んでいたこともあり、インクルーシブデザインという言葉は知ってはいました。しかし、それを題材にしたイベントを見るのは初めてだったため、思い切って参加を決めました。
当日は120名程の方が参加されていて、学生の私も楽しみながら学べる内容だったのを覚えています。イベントの最後にインターン生を募集する案内がありました。「こんなにも有意義なことが学べるなんて最高!」と思い、その場で応募を決意したんです。後日、そのイベントはインターン生が企画したものと知り、改めて色々なことに挑戦できる環境に「飛び込んで良かった!」と感じました。
思い返すとPLAYWORKSのインターンに参加しようとすぐに決断できたのは、大学の授業の影響もあったと思います。多摩美術大学では大学3年生になると、各教員のプロジェクトから1科目を選択する実践的な授業があるんです。私が選択したのはアートディレクター・永井一史さんのプロジェクトでした。以前に本やWebの記事を読み、永井さんが社会のためのデザインに深く携わっていることを知っていたからです。私はそのプロジェクトを通じて、初めて社会のための制度やインフラなどを設計する方法を実践的に学びました。障害者を置いてきぼりにせず、一緒にデザインを育んでいくためにはどうすればいいのか。その概念に触れ、強く魅力を感じるようになっていたのだと思います。
PLAYWORKSで印象に残っている活動や出来事は?
PLAYWORKSでの活動は学びが多く、日々ただただ圧倒されています(笑)。気になることは何でも詳しく調べるほうなのですが、それでも知らない情報を耳にすることが多いんです。まさにここは、自分が知っていることはたかが知れてるし、見えている世界がすべてじゃないと思わせてくれる場所ですね。大学でデザインを学んでいるだけでは、ビジネスや経営を肌で感じる機会はそう多くありません。PLAYWORKSのインターンを通じて、学生のうちに社会とのかかわりを持てることは非常に良いことだと感じます。
また、視覚障害者向けサービスの実証実験にアシスタントとして参加した際、実際に視覚障害者の方と触れ合う機会がありました。座学では体験することのできない、大変貴重な経験だったと思います。最近はPLAYWORKSのPR施策として、インターン生で企画を練っています。自分たちも楽しみながら、クライアントさんや世の中に影響を与えられるものを作っていきたいね、と話しています。
学業とインターン、どうやって時間を使い分けているのですか?
「インターンよりも、学業・就活を優先してOK!」というのが基本的な方針のため、上手く並行して続けられました。週一回のオンライン会議は参加必須ですが、ワークショップ等は自由参加です。自分の裁量でインターン活動に関われるため、機会やチャンスをどう活かすかは本人の判断にかかっています。
私の場合、どうしても学業が忙しい時には、移動やスキマ時間を縫って作業することもありました。体力的には大変でも、そもそもお金を払ってでも得たい体験だったため、私自身は負担だと感じることはありませんでした。
PLAYWORKSでのインターンは、就職にどういった影響を与えましたか?
2023年4月から医療・介護・福祉関連の事業を手がける会社で働くことが決まっています。最初はデザイン系の会社を見ていたのですが、残念ながらご縁には至りませんでした。いま振り返ると、社会問題を解決したいという思いが強すぎたがゆえに、「あなたが就職すべき会社はここじゃないよ」と教えてくれたのかもしれません。就職活動の後半では、医療・介護関連の現場で支援したいという方向性に自然と変わっていきました。
PLAYWORKSでの経験は、多くの場面で役立ちました。就職面接の場では活動内容のポートフォリオをお見せしたり、ワークショップにおける現場での体験談を話すこともありました。社会問題に興味関心を持つだけでなく、実際に企業でインクルーシブデザインの活動をしたという実績は、企業の採用担当の方にもアピールできたように感じています。
これから個人的にやっていきたいのはどんなこと?
現場に出てもっと多くの障害者の方と触れ合いたいです! 障害者の方と共に歩むデザインを作るためには、そうした関わり合いが不可欠だと感じているからです。就職先はベンチャー精神のある企業なので、手を挙げた人にはチャンスを与えてくれる環境だと考えています。数年後に、インクルーシブデザインに関する部署の立ち上げができたら最高ですね。
ほかにも保育士や社会福祉士など、現場での信頼につながる資格も取得していきたいです。施策の上流に関わるデザイナーがこれらの資格を有していることは、強みになると思っています。後輩や保護者の方から信用を得るためにも、積極的に学んでいきたいです。
未来のPLAYWORKSインターン生に対してメッセージをどうぞ
PLAYWORKSのインターンは、学生の立場で経験できる領域を超えています。大学の講義では学べないビジネスや経営について学べるし、障害者の方と直接触れ合う貴重な機会もあります。私はこのインターンに参加して、本当の意味で「障害者のためのデザインとは何か?」を考えることができました。そして何より、同じ興味関心を持った仲間・企業の方々と出会えたことが大きな財産です。
自分から行動してみないと得られないものって、たくさんあります。「行動しないで後悔するよりも、迷ったらまず行動してみるのもお勧めだよ!」と過去の私に、そして未来のインターン生に伝えたいですね。
INTERN INTERVIEW 03|大堀 亜紀子
https://playworks-inclusivedesign.com/column/2022-09-29/