COLUMN|インクルーシブデザインの理解を深めるおすすめ本 6選
インクルーシブデザイナーのタキザワケイタが、インクルーシブデザインの理解を深めるおすすめの本をご紹介します! 気になる本があったら、ぜひ手に取ってみてください!
Google流 ダイバーシティ&インクルージョン インクルーシブな製品開発のための方法と実践
アニー・ジャン=バティスト (著), 百合田香織 (翻訳)
ダイバーシティとインクルージョンのある組織の構築は、あらゆる業界のビジネスにとって必須の課題です。多様性のある市場に参入しなければ、潜在的な莫大な収益と、ユーザーのコアニーズに合ったプロダクトをつくるチャンスを失います。
では、このビジネス上の「理由」は確立されていたとして、その「方法」についてはどうでしょうか? いったいどうすれば、市場シェアを獲得しつつ、見過ごされてきたグループに向けたよりインクルーシブなプロダクトをつくり、多様化する世界に適応できるのでしょうか?
Googleのプロダクトインクルージョンチームは、そのための戦略を築き上げてきました。本書は、そうした彼らの足跡をたどる実践的なガイドです。Googleで「プロダクトインクルージョン」の責任者を務めるアニー・ジャン=バティストは、プロダクトやサービスの開発プロセスにインクルーシブデザインを組み込む方法を教えてくれます。読者は、リスクを抑えつつ収益性を向上させるインクルーシブプロダクトをデザインするための重要な戦略とプロセスのひとつひとつを学ぶことができます。
革新的なGoogleのプロダクトインクルージョンチームから、アイデア出し、UXリサーチ/デザイン、ユーザーテスト、マーケティング、またマネジメント、リーダーシップなど、さまざまな視点でインクルージョンのためのベストプラクティスを学ぶことができる一冊です。
Google流 ダイバーシティ&インクルージョン インクルーシブな製品開発のための方法と実践
インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン
ジュリア カセム (著, 編集), 平井 康之 (著, 編集), 塩瀬 隆之 (著, 編集), 森下 静香 (著, 編集), 水野 大二郎 (著), その他
誰もが参加できるデザインで社会を変える
英国発の概念から日本での実践まで、社会的課題を解決する参加型デザインの方法論。誰かのためのデザインから、誰もが参加できるデザインへ。
子ども、高齢者、障がい者などマイノリティだと考えられてきたユーザーをデザインプロセスに積極的に巻き込み、課題の気づきからアイデアを形にし、普遍的なデザインを導く「インクルーシブデザイン」。
これからの「ものづくり」と「デザイン」の実践例を多数収録。
デザイナー、エンジニア、建築家、プロダクトメーカー、必読!
インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン
「インクルーシブデザイン」という発想 排除しないプロセスのデザイン
ジュリア・カセム (著), 平井康之 (監修), ホートン・秋穂 (翻訳)
「インクルーシブデザイン」とは、対話から本当に大切なことを発見するためのプロセスです。
社会のメインストリーム(主流)にはない、エクストリーム(極端)な部分に目を向けることにより、
従来のデザインでは見落としていたアイデアや可能性を明確にすることが「インクルーシブデザイン」の特徴です。
そして、エクストリームから生まれたデザインを、メインストリームに新たなイノベーションとして提供する。
その役割を「インクルーシブデザイン」は果たすことができます。
不特定多数のための大量生産される「デザイン」は、経済的にも環境問題的にも、既に限界を迎えています。
これからは、つくり手とユーザーが一体となって問題解決力に富んだデザインを創造する時代です。
包含的に社会の諸問題にアプローチするプロセス、それが「インクルーシブデザイン」なのです。
「インクルーシブデザイン」という発想 排除しないプロセスのデザイン
ミスマッチ 見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ
キャット・ホームズ (著), ジョン・マエダ (編集), 大野千鶴 (翻訳)
ビジネスとインクルージョン(包摂)は両立可能なのか?
元Microsoft、現在はGoogleで「包摂的なデザイン」をリードする著者が送る、
現在のプロダクト/サービスづくりには欠かせない視点をもたらす一冊。
デジタルプロダクトを中心に、より多くの人々がひとつの製品やサービスに触れるようになりました。それにより、身体的、心理的、文化的に対象ユーザーから排除されてしまう人々や、以前から実は排除されていた人々の存在が浮かび上がるようになってきています。
本書は、そうした多様なユーザーを見えなくしている慣習を捨ててインクルーシブなデザインをビジネスで実現させるための、経営者やデザイナーに向けたフレームワークを提供します。
思い込みのペルソナからあいまいなユーザー像を対象にデザインするのではなく、いかに個別のユーザーのために設計したプロダクトを、大勢のユーザーへとスケールさせていけばいいのか。「人々のために」ではなく、いかに「人々とともに」デザインしていくことが可能なのか。ユニバーサルデザイン、アクセシビリティ、そしてインクルーシブデザインの違いは何か?
モノやインターフェイス、そしてサービスを設計するときに、必ず心に留めておくべきインクルージョンへの指針を与えてくれるでしょう。
ミスマッチ 見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ
マイノリティデザインー弱さを生かせる社会をつくろう
澤田智洋 (著)
「ライター」は、もともと片腕の人でも火を起こせるように発明されたものでした。「曲がるストロー」は、寝たきりの人が手を使わなくても自力で飲み物を飲めるよう作られたものです。それが今では障害者、健常者、関係なく広く利用されています。障害者にとって便利なものは、健常者にとっても便利だからです。
つまり、「すべての弱さは社会の伸びしろ」。
ひとりが抱える「弱さ」を、世界を良くする「力」に変えるアイデアのつくり方。それがマイノリティデザインです。
大手広告会社で名だたる企業のCMを手がけるコピーライターだった澤田氏は、自身の息子が目に障害を持って生まれてきたのを機に、「広告をつくらないコピーライター」となりました。そして、活躍の舞台を広告業界という「マス」の世界から、福祉業界という「マイノリティ」の世界にスライドさせ、「弱さ」を起点に社会課題を解決する仕掛け人となります。
その活動は多岐に渡ります。
・福祉器具である義足をファッションアイテムに捉え直した「切断ヴィーナスショー」
・視覚障害者の「足」と寝たきりの人の「目」を交換する「ボディシェアリングロボットNIN_NIN」
・過疎化地域への移住を劇的に促進させたPRプロジェクト「高知家」
・ユナイテッドアローズと立ち上げた、ひとりの悩みから新しい服をつくるレーベル「041」
・運動音痴でも日本代表選手に勝てる「ゆるスポーツ」etc……。
苦手、できないこと、障害、コンプレックス=人はみな、なにかの弱者・マイノリティ。テレビやウェブで話題になった数々の仕事、その全貌を書き下ろした、ビジネス書としては澤田氏初の書籍となります。
マイノリティデザインー弱さを生かせる社会をつくろう(ライツ社)
コ・デザイン —デザインすることをみんなの手に
上平崇仁 (著)
「デザイン」という言葉を、ビジネスや、公共のシーンで耳にすることが、珍しくなくなりました。「デザイン思考」「デザインマネジメント」「サービスデザイン」「ソーシャルデザイン」「コミュニティデザイン」等々。また、「ライフデザイン」「ワークデザイン」「ヘルスデザイン」等、自らの人生や健康を望むべき方向へと導くかという視点からも、デザインという言葉が使われることが増えました。公から私まで、組織から個人まで、あらゆる領域に、デザインという言葉は進出しつつあります。
他方、日本で教育を受けた大半の人にとって、デザインという言葉はこれまで縁遠いものであったと思います。憧れはあるものの、なんだが近寄りがたい、そんな両義的なイメージを抱かせるものであったかもしれません。ゆえに、だれもがデザインすることが求められる現状に戸惑いを感じる人も多いでしょう。それどころか、なんとなく、その言葉の使われ方の万能さをうさん臭く感じている人もいるかもしれません。至極当然です。
本書、『コ・デザイン』は、だれもがデザインすることが求められる現状と、それを前にして立ちすくむ〈私たち〉との飛び石となることをめざした一冊です。私たちがデザインすることにためらうのは、デザインというものがなにで、なにができるのかをあまりにも知らないからです。その可能性と限界を知れば、デザインすることはさほど特別なことではないと安堵するでしょう。それどころか、私たちの日常にはデザインとは名付けられていないものの、まさにデザインされたものが、たくさんあることも気づくでしょう。デザインにも、キラキラしたものから、ざらざらしたもの、ごつごつしたものまで幅があるのです。
著者である、上平さんは、グラフィックデザインから仕事をはじめ、芸術学部の教員となり、いまは情報学部の教員をしている、少し変わったキャリアの持ち主です。詳しくは本書に譲りますが、デザイナーの気持ちも、デザインを志す若者たちの気持ちも、また、デザインとは縁遠いところにいる人たちの気持ちもわかる、頼もしい人物です。本書を書き始める最初に、デザイナーにも、ノンデザイナーにも、どちらの立場から読んでも面白い本にしましょうといういささか無理な提案をしましたが、まさにそんな本ができました。
本書を片手に、行きつ戻りつ、デザインの旅をお楽しみください。