REPORT|PLAYWORKS × MIRAIRO Co-Designプロジェクト:ファッションワークショップ
![プレイワークス ミライロ コ・デザインプロジェクト](https://playworks-inclusivedesign.com/wp-content/uploads/2023/03/b88d7f5bf30fdc05d6d017cc9839f5fe_4890217efcda18aa44ba8f33e12c604e-980x570.jpeg)
2021年2月25日、PLAYWORKS株式会社と株式会社ミライロが「MIRAIRO Co-Designプロジェクト:ファッション」体験ワークショップを開催しました。今回はこちらの体験レポートをお届けしたいと思います!
PLAYWORKS × MIRAIRO Co-Designプロジェクトとは?
「MIRAIRO Co-Designプロジェクト」は、PLAYWORKSの「インクルーシブデザイン」「サービスデザイン」、ミライロの「ユニバーサルデザイン」の知見を活かし、企業における製品・サービスの開発や改善を支援するための取り組みです。このプロジェクトではミライロ・リサーチによる障害当事者への調査や、ワークショップへのリードユーザーとしての参加など、全体プロセスに障害当事者が関わりながら進めていきます。プロジェクトを通じて、バリア(障害)がバリュー(価値)となる社会の実現を目指していきます。
PLAYWORKS株式会社
新規事業・組織開発・人材育成など、企業が抱えるさまざまな問題を解決へと導きます。また 一般社団法人PLAYERSでは、新感覚ダイアログワークショップ「視覚障害者からの問いかけ」や、テクノロジーで点字ブロックをアップデートする「VIBLO」、顔が見える筆談アプリ「WriteWith」の社会実装など、社会課題の解決に取り組んでいます。 https://keitatakizawa.themedia.jp/
株式会社ミライロ
障害のある当事者の視点を活かし、ユニバーサルデザインの総合コンサルティングを推進しています。社会性と経済性の両輪から、3つのバリア「環境」「意識」「情報」や社会の仕組みに関する各種ソリューションを提供。多様性を理解する「ユニバーサルマナー検定」、障害者手帳アプリ「ミライロID」、障害当事者の声をHP、製品、施設改善に活かす「ミライロ・リサーチ」、D&Iの情報発信・交流拠点「ミライロハウス」などを展開しています。 https://www.mirairo.co.jp/
「オンライン体験ワークショップ」スタート!
今回は「ファッション」をテーマに、障害当事者5名とアパレル企業4社の計22名が参加。2時間のオンラインワークショップを行いました。はじめに「Co-Designプロジェクト」についての説明や参加企業の紹介があった後、ワークショップの目的やテーマ、プログラムが伝えられました。
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参加企業はグローバルプロジェクト株式会社、株式会社ナイガイ、丸安毛糸株式会社、任意団体コオフクで、各企業が車椅子ユーザーや障害当事者など、ファッションに関する悩みやニーズに寄り添った製品を開発・販売しています。
その後は、以下の流れでワークショップが進んでいきました。
プログラム
- 自己紹介:私のファッションへのこだわり
- インプット:「ファッションに関する障害者の悩み・要望」アンケート結果の共有
- テーマ共有:障害者のファッションに関する悩み(チーム分け)
- ブレインストーミング:障害者のファッションに関する悩みを健常者が解決する
- プレゼンテーション
- テーマ共有:健常者のファッションに関する悩み(チーム分け)
- ブレインストーミング:健常者のファッションに関する悩みを障害者が解決する
- プレゼンテーション
自己紹介ではランダムに3名グループになり、自分のファッションへのこだわりについて話し合いました。視覚障害のある方からは「見えないことでファッションを諦めたくない!」「見えないから見た目を気にしない、というふうに思われたくない!」というように、見えないという特性によって起こるネガティブな側面を、そのままにしないことにこだわっている印象を受けました。また、毛糸を扱う企業で働いていることから、いつもニット製品を着ている、自分=ヘアバンドというふうに、チャームポイントとして活用しているなど、自分のアイデンティティと関連付けたこだわりを持っている方もいました。
続いてインプットではワークショップ前に実施された、障害当事者や障害者支援に関わっている方を対象とした「ファッションの悩み・要望」アンケートの結果が共有されました。上肢が不自由な人、下肢が不自由な人、視覚障害のある方など、ファッションへの悩みはさまざまです。例えば、ボタンやホックなどが付いていると麻痺によって洋服が着づらい(上肢)、市販の靴が履けずにファッションが限定される(下肢)、色の判別やコーディネートに困難を感じる(視覚障害)などの悩みが挙がっていました。また、ファッションに関するプロセスとして、「服を買おうと思う」ところから「服を処分する」まで、さまざまなプロセスがあるよね!という話がされました。
障害者の悩みを健常者と解決する
そしていよいよ、テーマの共有です。事前に5名の障害当事者が回答した「ファッションに関する悩み・どうにかしたいコト」は、このような感じでした。
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高木さんは上肢・下肢不自由者、丸橋さんと杉﨑さんは下肢不自由者、長谷部さんと原口さんは視覚障害者です。それぞれの悩みに対して、健常者側が解決したいと思う悩みを選び、4チームに分かれで15分間でブレスト。ブレスト内容は各チームのグラフィッカーがグラフィックレコーディングし、プレゼンを行いました。
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プレゼンテーション
「試着」をどうにかしたい!(上肢・下肢不自由者)
高木さん、丸橋さんの悩みは、見るだけだとサイズ感が分からないので試着する必要があるが、試着室が狭かったり試着に時間が掛かるので、試着自体に抵抗感があることでした。そこでARを使った仮想試着や、車イス専用の通販で試着や返品を自由にできるサービスなどのアイデアがでました。
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デザインが良く、体型に合った服がない!(下肢不自由者)
杉﨑さんの悩みは深掘りすると、「フリーサイズ」や「福祉ファッション」といった固定化された概念によって生じるもので、杉﨑さんからは「ヒールが取り外しできるアタッチメント式だったらいいのに」というアイデアが提案されました。しかしメーカー側としては、少量を製造しようとすると価格が課題になるとのこと。そこで、健常者も気分によってヒールを取替えられたら嬉しいのではないか? それであれば障害者だけでなく広く一般向けになり、先ほどの課題も乗り越えられるという話に展開していきました。バリエーションが豊富で選択肢があることは、障害の有無に関係なく多様な価値につながりそうです。
同じ服を複数色持っていると区別がつかない!(視覚障害者)
長谷部さんの悩みは、初めは同じサイズで違う色の服を分けて収納していたものの、いつの間にかどちらか分からなくなってしまった、とのことです。この悩みに対して、服に触って分かる印をつける、タグを切って違いが分かるようにする、そもそも買う時に同じものではなく、少し形が違うタイプのものを買うなど、さまざまなアイデアがでました。
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似合っているか自分で判断できない!(視覚障害者)
原口さんの悩みは、目が見えないために店員さんからの「似合ってますよ!」という言葉が信用できない、とのことでした。これは健常者も一緒で、店員との信頼関係があるかどうかが大事かもしれない、という話に。店員さんがコーディネートにダメ出しをしてくれたり、持っている服を把握してくれていると変な組み合せにならないなど、さまざまな「信用」が議論されました。褒め方についても「イギリスの大学生っぽいね」というふうに、具体的に形容されると分かりやすい、という意見もありました。
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健常者の悩みを障害者と解決する
次に、健常者のファッションの悩みを障害者が解決するべく、「健常者のファッションの悩み」をZoomのチャットに書き込みました。さまざまな悩みが挙げられた中で、「体型」「服を捨てられない」「試着」「冒険できない」という4つにグルーピングされ、今度は障害当事者が解決したいと思う悩みを選び、4チームに分かれて15分間のブレストを行いました。
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プレゼンテーション
テーマ:体型
体型によるファッションの悩みは、加齢による体型のくずれを隠したいというものや、高身長・低身長によって似合うサイズが見つからない、またネットで見たイメージと違うといった、それぞれに切実な意見がありました。加齢は重力で体の肉が下がりやすいことから、もはや重力をなくせばいいのでは?というトンデモ!?なアイデアや、フリーサイズではなく身長から服を探したいよね、といった意見が挙がりました。
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テーマ:服を捨てられない
服を捨てられないという悩みは、「捨てるのが嫌で新しく服を買えない」「お気に入りの服ばかり溜まってしまう」というものでした。解決策として、高額でも何シーズンも着れる服を訴求していく、大量につくらずに良いものを適正な数だけつくって売っていく、1シーズ着なかったらリサイクルに回す仕組みにする、などの意見が挙がりました。
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テーマ:試着
試着に関する悩みは、試着が面倒で楽しくなかったり、店員に申し訳ない気がするなど、車イスユーザーと似た悩みを抱えていることが分かりました。そこで、試着を楽しくするために店員とコミュニケーションを取りやすくする、店員に声をかけるハードルが高いので、指名できる仕組みにする、信頼できる店員によるサブスクサービスがあったらいい、といったアイデアがでました。
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テーマ:冒険できない
冒険できないという悩みは、色やデザインをいつも同じようなものばかり選んでしまうということ。これに対して、「色だけ変える」「柄を取り入れる」「形を変えてみる」のように、少しづる段階的にトライするや、キャラクターでもなんでも好きなものを「これはコスプレとして着てます!」という心持ちで着てみる、スタイリストがユーザーのアンケートをもとに選んだ服が届くサブスクサービスなどのアイデアがでました。
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最後に、株式会社ミライロからお知らせがあり、大盛況の内に「MIRAIRO Co-Designプロジェクト」体験ワークショップは終了しました。参加者の感想コメントをご紹介したいと思います。
- 楽しい雰囲気でスムーズな進行でした。グループワークの内容をビジュアル化する手法も良かったです。
- 障害者の方と直接意見交換ができ、貴重な時間でした。他業種の方々とも交流ができ、いい刺激になりました。
- 新しい発見もあり非常に興味深かったです。進行もスピーディで、イラストもわかりやすくて良かったです。
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MIRAIRO Co-Designプロジェクト:ファッションワークショップに参加して
オンラインではありましたが、さまざまな障害当事者やアパレル企業の方との共創を通じて、障害の有無に関係なくファッションの悩みを共有したり、解決に向けたブレストをすることができました。Co-Designプロジェクトを通じて、みんなにとってより良いインクルーシブな製品やサービスが生まれることを楽しみにしています。
文:PLAYWORKS Inc. インターン 鈴木 葵
「MIRAIRO Co-Designプロジェクト:ファッションワークショップ」ダイジェストムービー