PLAYWORKS INTERN INTERVIEW 07|細谷耕太郎

PLAYWORKS インターンインタビュー7 細谷耕太郎 誰かのためのデザインを、自分の手で。

PLAYWORKSのインターンはクライアントワークやプロジェクトに関わる中で、インクルーシブデザイン・サービスデザイン・ワークショップデザインについて学んでいます。今回は2023年6月からインターンとして活動している、細谷耕太郎のインタビューをお送りします!

細谷耕太郎 HOSOYA KOTARO

筑波大学大学院 デザイン学学位プログラム 修士2年
高校生時代はサッカー部に所属。自分の疲労状態を可視化することに興味があり、大学では心理的要因から来る疲労にも興味を持つ。のちにこれが障害のある人に役に立つアプローチであると知る。趣味は登山で、ほかにも好きなアーティストのライブやJリーグ観戦も楽しんでいる。デザイン学学位プログラム最優秀作品賞 / 筑波大学芸術賞受賞

インタビューの様子。Zoomのスクリーンショット。左に細谷、右にインタビュアー の大崎さんが並んでいる。

左:細谷耕太郎 右:インタビュアー  大崎博之
 

まずは細谷さんのことを簡単に教えてください

筑波大学に入学した当初は知識情報・図書館学類という学科に所属し、インターネットや学術文献データベース、図書館などの仕組みやシステム、企画・運営について学びました。デザインに触れるようになったきっかけはデザインの授業を取ったことでした。もともとグラフィックやイラストレーションなどのデザインに興味はあったのですが、クリエイティブな人たちがやるものというイメージで、自分からは縁遠いものだと感じていました。ところが、身近な製品やサービスに見られるような「人の体験をより良いものにするための工夫」もデザインなのだと知ったことがきっかけで認識が大きく変わりました。そこで、2年生からは所属を芸術専門学群に変更しデザインを学ぶことにしました。
デザインを専攻するようになってからは、サークル活動を通して大学生活を満喫しつつ、デザインスキルを磨くこと、そして作品を多く作ることに時間を費やしてきたように思います。自分の修士研究では、朝の生活を可視化するボードゲーム型ツールを作りまして、先日その発表を終えることができました。

ボードゲーム型ツール

デザイン学学位プログラム最優秀作品賞 / 筑波大学芸術賞を受賞したボードゲーム型ツール

この修士研究もそうですが大学院に進学してからは、実際にプロトタイプ(試作品)を作り、ユーザーの声を聞きながら社会で機能するものをデザインする機会が増えました。授業時間の範囲だけでは、スケッチをして終わり、構想を描いて終わりとなってしまうことが多かったため、ユーザーテストの場を設けてフィードバックをもらいながら進める研究では多くの学びがありました。
 

PLAYWORKSでインターンをはじめたきっかけは?

代表のタキザワさんが筑波大学の講師として教えている「アクセシビリティリーダー特論」の授業を受けたことがきっかけです。そこでPLAYWORKSの活動や取り組みを知り、自分がこれまで学んできたデザインと新しく学び始めた障害科学が自分の中で繋がった気がして、インターンの参加を決めました。ただ、インクルーシブデザインに興味を持った背景については、高校時代にまで遡ります。当時サッカー部に所属していたのですが、練習があまりにきつかったため、無意識に格闘ゲームにあるような「体力ゲージ」を浮かべる癖がついていたんです。大学ではそれを実際に「可視化できるメーター」として、研究のテーマにできないだろうかとぼんやりと考えるようになりました。
そこで大学の研究室に足を運び、違う専攻の先生たちにも相談をしたところ、「精神的な疲れなども扱うのであれば、ADHDやASDなどの発達障害のある方にも役に立つ研究テーマになる」と教えてもらったんです。こうした背景もあってデザイン系の授業とは別に障害科学分野の授業も取っており、タキザワさんが非常勤講師を務めていた講義「テクノロジー活用による障害者支援」にも出会うことができました。
 

PLAYWORKSでは具体的に何をしているのですか?

毎週水曜日の、オンライン定例ミーティングに参加するのが基本です。インターン生が気になるインクルーシブデザインに関するトピックを共有するほか、進んでいるプロジェクトの状況共有や事例のリサーチなどをしています。ミーティングの議論の中ではインターン生が通っている大学の特色や学問に対する視点が違うのも、とても勉強になっています。
過去には、障害のある人が災害時に避難所などで使用する「災害バンダナ」や、聴覚障害のある人が指を指して使用する「コミュニケーションボード」について、網羅的に調べたこともありました。リサーチは個人的に好きな作業で、記事の日付からおそらく日本で最初に作られたであろう災害バンダナを見つけたことが印象に残っています。
また、定期的に企業とのプロジェクトでワークショップがあるので、アシスタントとして写真を撮影したり、リードユーザーさんのアテンド、PLAYWORKSのYouTubeチャンネル『PLAYWORKS : INCLUSIVE DESIGN channel』の動画編集など、興味のある活動に手をあげて参加しています。
PLAYWORKSのインターンは柔軟にスケジュールの調整が可能なので、学業とインターンの両立もしやすかったです。リアルでのイベントに参加することもできますし、自分の研究が忙しい時期には学業に専念することも可能でした。

 

PLAYWORKSで印象に残っている活動や出来事は?

筑波大学で開催された、筑波大学支援技術マッチングイベントが一番印象に残っています。「きく」「みる」「うごく」をテーマにした内容で、さまざまな企業を招いて、インクルーシブデザインによるプロダクトやサービスを体験するイベントです。タキザワさんが「最新の支援技術」についてプレゼンテーションをする場面では、立ち見の人が出るくらい大盛況だったので、インクルーシブデザインや障害のある方への支援技術に興味がある人が、僕の通っている大学の近くにたくさんいることにも純粋に驚きました。
また、イベント中に僕は背後から自転車が近づくと知らせてくれる、腕時計型デバイス「コデカケ」の体験サポートを担当しました。体験してもらうには誰かが自転車をこぐ必要があったので、僕が何度も自転車で往復したんですね。自転車で近づくと僕の予想よりも早くデバイスを着用した皆さんが振り向くのが見えて、それがけっこう楽しくて今も思い出に残っています。

筑波大学支援技術マッチングイベントにて体験サポートのために自転車をこぐ細谷さん
 

インターンを通して得られたことは何ですか?

筑波大学支援技術マッチングイベントのあと、懇親会にも参加したのですが、そこで障害支援分野でものづくりをしている企業の方々とお話をする機会があり、これまでの経験や仕事に対する考え方を聞くことができました。プロダクトやサービスを作った背景にある思い、理想と現実のバランス、予算の確保をする重要性、これまで市場価値をどう創造してきたのか、といった話はとてもためになりました。
また、インターン全体を通して一番大きいのは、タキザワさんの考え方を知る機会があるということだと思います。定例ミーティングでインクルーシブデザインのトピックを共有する際も、タキザワさんが感想やフィードバックをくださるので大きな学びになっています。
くわえて、ワークショップのアシスタントをする際は、現場を見れること自体が貴重な経験です。例えば、グループにペンや付箋紙を配置する時も、みんなで和気あいあいとコミュニケーションを取ってほしいときはテーブルの真ん中にまとめて置く、黙々と個人ワークをしてほしい時は各自の手元に置いておくなど、細かいところまで意識してデザインしていることに驚きました。
 

PLAYWORKSはどんな会社ですか?

ワクワクさせてくれるプロジェクトばかりの会社だと感じます。どのプロジェクトを見ても本当に胸が高鳴りますし、クライアントやリードユーザーも楽しそうに活動されていることがわかります。
ユニバーサルデザインやインクルーシブデザインは、介護用品や障害のある方向けの製品など、機能性が重視されることが多いと思うのですが、PLAYWORKSはそこにとどまらない印象です。それは製品を利用するユーザーはどういう気持ちになるのか? 社会にはどのように受け入れられるのか? そういったところまでを考慮して、デザインをしているからだと思います
 

これから挑戦したいことは何ですか?

学生生活も残り1〜2ヶ月間ですが、自分の研究を学会に出すなど、研究した結果を広げる活動がしたいと考えています。PLAYWORKSでのインターンもやり切りたいですね。
就職先は日本をはじめとした世界の社会インフラを作る企業なので、人と人、技術とビジネスを繋ぐ環境を整えるなど、情報をわかりやすく伝える仕事がしたいと思っています。誰かの役に立ち、さらに次の人へとその効果が波及するようなものを自分の手でデザインできたら本当に嬉しいことだと思います。
 

未来のPLAYWORKSインターン生に対してメッセージをどうぞ!

PLAYWORKSのインターンシップは、 ビジネスの現場の雰囲気を直に感じられる絶好の機会なので、現場感を学びたい方にはピッタリだと思います。明確な目標や目的がなければインターンに参加できないと思ってしまうかもしれませんが、僕自身は思い切って飛び込むことで多くのことを得ることができました。
デザインの技術や経験がない方も、PLAYWORKSの活動を通じて身につけることが可能ですし、障害というテーマについても一緒に活動を進める中で多くを学ぶことができるので、興味がある方は安心してチャレンジしてみてください。インターンに申し込もうかどうか迷っている方は、ぜひ一歩を踏み出してみてほしいです。
 
  

PLAYWORKS INTERN INTERVIEW 06|吉田みずき

インターンインタビュー 06 吉田みずき デザインはもっと、シンプルで楽しい。

 https://playworks-inclusivedesign.com/column/column-6248/

 

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