CASE STUDY|聴覚障害者を支援するサービス・プロダクト・アプリ(2025/1)

聴覚に障害がある人は世界で4.7億人います。さらに、日本では高齢化により増加すると予測されています。多くの聴覚障害者は、社会生活におけるコミュニケーションについて困難を感じており、この社会課題の解決は重要なテーマです。
本コラムでは、聴覚障害者を支援するサービスやプロダクト、アプリなどを【 声 】【 音 】【 手話 】【 筆談 】【 その他 】の分けてご紹介。定期的にアップデートして、最新情報をお届けします!(更新:2025年1月)
声
ヨメテル
日本財団電話リレーサービス
ヨメテルは、電話で相手先の声が聞こえにくいことがある人へのサービスとして、通話相手の声を文字にする電話アプリです。24時間・365日、双方向での利用、緊急通報機関への連絡も可能です。通話相手の声を文字にすることで、電話でのコミュニケーションをスムーズにする、法律に基づいた公共インフラとしてのサービスです。

電話リレーサービス
日本財団電話リレーサービス
電話リレーサービスとは、聴覚や発話に困難のある人と、きこえる人との会話を通訳オペレータが「手話」または「文字」と「音声」を通訳することにより、電話で即時双方向につながることができるサービスです。令和2年6月、「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律(令和2年法律第53号)」が制定(同年12月1日施行)され、公共インフラとしての電話リレーサービスが制度化されました。

VUEVO 言葉が見える、会話がわかる。
Pixie Dust Technologies
VUEVO(ビューボ)は、聴覚障害や聞こえにくさがある人と聴者のコミュニケーションをスムーズにしたい、それにより互いに余計なストレスや気遣い無くもっと向き合える機会を増やしたい、という想いからスタートしたサービスです。聴覚障害者と聴者の間には、職場での聞こえの違いによって会議など複数人の会話の場でコミュニケーションが難しいという課題があります。ピクシーダストテクノロジーズの先端技術を用いて開発したVUEVOは、「誰が」「何を」話しているかをリアルタイムに直感的に表示することでこの課題を解決します。


See-Through Captions
筑波大学 デジタルネイチャー研究室・xDiversity
音声認識を使ったリアルタイム文字起こしは,声を聞き取りづらい人の日常生活を支援する重要なツールとなりつつある。より良いコミュニケーションを図るためには,表情や身振り手振りなどのボディーランゲージを用い,誤認識を防ぎながら快適に利用できるシステムが必要だ。そこで,透明ディスプレイを利用したリアルタイム文字起こしのシステムを提案する。このシステムでは,自動音声認識の誤認識を話し手が確認するために,文字起こしの結果がディスプレイの両側に向けて表示される。また,透明度の高いディスプレイにより,ボディーランゲージと文字の両方を確認しながら会話を行うことができる。

https://digitalnature.slis.tsukuba.ac.jp/2021/02/see-through-captions/
字幕表⽰システム Cotopat
京セラ
近年、インバウンド需要の回復や国内の労働⼒不⾜により外国⼈とのコミュニケーションの機会が増えました。また、改正障害者差別解消法の施⾏や⾼齢化の加速などを背景に、さまざまな障がいや多様性の壁への配慮が求められる場⾯も多くなってきています。字幕表⽰システム「Cotopat®(コトパット)」は、このような社会環境の変化に柔軟に対応するため、機能を拡充しました。誰ひとり取り残されない共⽣社会の実現をめざし、より多くの⼈々のコミュニケーションに役⽴つソリューションとしてこれからも進化します。

https://www.kyoceradocumentsolutions.co.jp/products/ict-service/communication/cotopat
Pekoe 会話をその場で字幕に
リコー
「Pekoe」は手軽に使えて、会議に参加している誰もがブラウザ上で音声認識結果を見ることができ、誤変換をその場で修正できるクラウドサービスです。常に最前面にウインドウが表示されるため、他のアプリケーションによりコミュニケーションが遮断されることはありません。チャット機能も備えており、「Pekoe」の画面を会議資料と同時に表示させて画面共有することで、「Pekoe」の中だけで双方向コミュニケーションが可能です。
UDトーク コミュニケーション支援・見える化アプリ
Shamrock Records
UDトークはコミュニケーションの「UD=ユニバーサルデザイン」を支援するためのアプリです。「音声認識+音声合成」機能を使って視聴覚障害間コミュニケーション、「多言語音声認識&翻訳」機能を使って多言語コミュニケーション、「漢字かな変換や手書き」機能を使って世代間コミュニケーション、UDトークは3つのコミュニケーションを実現します。1対1の会話から多人数の会話や会議まで、オンラインでもオフラインでも使い方次第で幅広く様々な方とのコミュニケーションに活用することができます。

YYProbe リアルタイム音声認識アプリ
アイシン
お手元の端末で音声を集音、リアルタイムで音声認識を行います。テキスト化された会話をアプリに表示、その場で音声を聞くことができます。また、発言数や頻出キーワードを集計して表示します。

Live Speech
Apple
iPhone、iPad、MacのLive Speechにより、ユーザーは、電話、FaceTime通話、対面での会話中に自分が話したいことをタイプして読み上げてもらうことができます。また、よく使うフレーズを保存しておいて、家族、友人、同僚と実際に会話する際にすばやくそれを挟み込むこともできます。Live Speechは、発話できない、または徐々に発話能力を失っている、世界中の何百万人もの人々をサポートするために設計されました。


声・筆談
しゃべり描き
三菱電機
「しゃべり描き®UI」は、外国語や手話ができなくても外国人や聴覚障がい者との円滑なコミュニケーションを実現するタブレット・スマートフォン向けアプリです。好きな場所に絵を描くように、話した言葉を指でなぞった軌跡に表示することで、筆談より手軽で直感的な操作ができます。また、お絵かきや画像と組み合わせて表示できるので、文字だけに頼らない分かりやすい表現が行えます。さらに、多言語翻訳により、外国人ともより楽しくより深く想いを伝え合うことができます。このように、しゃべり描き®UIは音声認識技術を活用した次世代のコミュニケーションツールです。

https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/randd/list/design/advanced/b212/
SpeechCanvas
FEAT
SpeechCanvas(スピーチキャンバス)は、聴覚障害者と健聴者との会話を、音声認識技術を使って強力にサポートするアプリです。話した言葉が次々と画面上に、ふりがな付きで文字となり、画面を指でなぞれば絵や字がかけます。操作がシンプルでわかりやすいので、どなたでも簡単に使えます。インターネットがつながらなくても音声認識してくれるので、いつでもどこでも安心です。公共機関の窓口応対や店頭での接客サービスのほか、職場や学校、ご家庭など、生活のさまざまなシーンでお使いいただけます。

音
ハグドラム
SONY
聴覚に障がいがある方の「音楽を楽しみたい」という声をもとに生まれた、手のひらで打面を叩いた音を、光と振動で感じるドラムです。打面の中心は低音、縁を叩くと高音が出て、光を放ちます。また、胴体の2カ所に振動するスピーカーがあり、抱えると脇腹に触れる内側からは自分の叩いた音が、腕に触れる外側からは合奏者の音が振動として再現されます。

https://www.sony.com/ja/SonyInfo/design/stories/hugdrum
ミルオト
アイシン・早稲田大学・方角
ミルオトは、競技の雰囲気や応援のエネルギーを擬音にして表示させることで、これまであまり重視されてこなかったビジュアル的な要素を提供します。また、試合の進行がわからないという状況を、情報で取り除くことによって、ノンストレスな競技観戦を提供します。

見えるアナウンス
ヤマハ
「みえるアナウンス」は、専用アプリ不要で、駅構内アナウンスを多言語化・文字化できるサービスです。駅構内に設置された専用のパネル「トリガーボード」に、お客様がお持ちのスマートフォンをかざすかQRコードを読み取ると、その駅で駅係員用のアプリ「おもてなしガイド for Biz」を使って放送されたアナウンスの内容が、多言語で文字表示されます。

https://www.yamaha.com/ja/news_release/2024/24103102
コデカケ ちょっと遠くへ、ココロおどるおでかけ。
Panasonic
聴覚障がいを持つ方は、補聴器や人工内耳を装着しても、健聴者と同様に聞こえるわけではありません。特に後方からの音が聞こえづらく、外出中に接触事故の危険を感じたり、後方に注意を払うことで疲れてしまったり、おでかけが楽しくないこともしばしば。コデカケは、聴覚障がいを持つ方が、外出中でも気持ちに余裕を生む一助になればという想いで、背後からの車や自転車の接近の通知やルート案内をするデバイス/サービスです。知らない道も楽しく歩いて、いつもよりちょっと遠くへおでかけしませんか?



https://gccatapult.panasonic.com/ideas/kodekake.php
サウンド認識
APPLE
iPhoneでサウンドを認識する。赤ん坊の泣き声、ドアベル、サイレンなど、特定のサウンドをiPhoneに継続的に聞き取らせて、認識したときに通知を送信させることができます。

https://support.apple.com/ja-jp/guide/iphone/iphf2dc33312/ios
音検知通知
スマートフォンの音検知通知をオンにする。音検知通知を使用して、家の中の出来事を知ることができます。音検知通知をオンにすると、煙警報のビープ音やドアフォンのベルが鳴った場合など、聞き逃したくない音をスマートフォンで常時検出できます。

https://support.google.com/accessibility/android/answer/10092548?hl=ja
Sound Display
情報技術開発
Sound Display(サウンドディスプレイ)は、身の回りの音を認識して、ユーザーに通知してくれるスマートフォンアプリです。 AI・スマートデバイス・クラウドをフル活用し、より良い社会の実現を目指しています。 ろう者、難聴者、高齢者など、聴覚障がい者が感じる日常生活や就労時の不自由さ・身の危険を解消し、社会参加しやすい環境づくりのお手伝いをします。

https://www.tdi.co.jp/sound-display/
お手元テレビスピーカー
SONY
テレビ音声が聴き取りにくいときや、家事をしながらテレビ音声を聴きたいときに便利なワイヤレススピーカー。テレビ番組の音声を手元のスピーカーへ送信しテレビ音声を聴きやすくします。持ちやすいハンドルで家中持ち運べます。

https://www.sony.jp/ic-recorder/kikitori/SRS-LSR200/
ミライスピーカー
サウンドファン
ミライスピーカーは、「蓄音機の出す音は難聴者に聞こえやすい音だ」という発見を元に開発された曲面形状のスピーカーです。距離が離れた場所でも音量が減衰しないエネルギー波の高い音を出すことができ、聴こえづらさを解消するスピーカーです。

Ontenna
富士通
Ontenna(オンテナ)は、髪の毛や耳たぶ、えり元やそで口などに身に付け、振動と光によって音の特徴をからだで感じる全く新しいユーザインタフェースです。 ろう者と健聴者が共に楽しむ未来を目指し、ろう者と協働で開発しました。

エキマトペ
富士通
エキマトペは、駅のアナウンスや電車の音といった環境音を、文字や手話、オノマトペとして視覚的に表現する装置です。誰もが使いやすく、毎日の鉄道利用が楽しくなるような体験を目指して、川崎市立聾学校の子どもたちと一緒にアイデアを考えました。単一の無指向性マイクによって集音された音声を AI 分析し、各番線アナウンスの文字・手話動画化、および車両・ホームドア・スピーカーから鳴る音のオノマトペ化を行います。また、駅員のマイクから取得した駅アナウンスをリアルタイムに文字に変換するほか、 文章の意味に合わせてフォントを自動的に変化させます。
SOUND HUG あなたの身体が耳になる
Pixie Dust Technologies
聞こえないを、聴けないにしない。そんな想いから生まれたのが「SOUND HUG(サウンドハグ)」です。抱きかかえることで、音楽を視覚(光)と触覚(振動)で楽しむことができる音楽装置。聴く音楽から、感じる音楽へ。さぁ、新しい音楽の楽しみ方のはじまりです。
https://pixiedusttech.com/soundhug/
UDCastMovie
Palabra
UDCastMOVIE(ユーディーキャスト・ムービー)とは、映画や映像作品に合わせて、自動的に字幕や手話映像の表示、音声ガイド再生等を行うことのできる無料アプリケーションです。

手話
SureTalk
ソフトバンク
手話ユーザーと音声ユーザーのコミュニケーションをより円滑にするサービスです。手話と音声をリアルタイムでテキストに変換し、画面を通して会話ができます。

https://www.suretalk.mb.softbank.jp/
ゲームで学べる手話辞典
ソフトバンク
「ゲームで学べる手話辞典」は、実際の人の動きで作られた豊富な辞典と楽しいゲーム機能で、手話をわかりやすく楽しみながら学べるアプリです。

https://www.softbank.jp/mobile/service/shuwa-jiten/
手話CG
NHK
「手話CG」は、NHK放送技術研究所が開発を進めているもので、単語1つ1つについて、実際の手話の動きを取り込んで(モーションキャプチャ)、コンピューターグラフィックス(CG)化したものです。 現在およそ7,000語を作成しています。

https://www2.nhk.or.jp/signlanguage/sp/index.cgi
手話タウン
「手話タウン」は、手話が公用語の架空の町を舞台に、手話を駆使しながらアイテムを集めていくオンラインゲームです。言語は英語・日本語・中国語(繁体字)から選ぶことができ、学ぶ手話言語は日本手話と香港手話から選ぶことができます。日本手話の収集は関西学院大学手話言語研究センターに協力いただきました。学習者は、カメラに向かって実際に手話でアイテムを指示しながら、旅行に備えて荷物をまとめたり、宿泊するホテルを探したり、カフェで食べるものを注文したりと、様々なテーマに合わせた手話をゲーム感覚で学ぶことができます。
筆談・手話
WriteWith 顔が見える筆談アプリ
Microsoft・PLAYERS・PLAYWORKS
公の場でのコミュニケーション手段として「筆談」は利用されることが多い。 しかし、「筆談を嫌がられる」「相手の顔が見えない」 「一方通行のやりとりになる」といった課題があります。 そこで、障害に関わらずコミュニケーションを楽しむことができる、会話よりも「より感情的なコミュニケーション」ができる、「聴覚障害への理解」や「筆談の利用」が促進されるアプリを作りました。

https://playworks-inclusivedesign.com/work/work-147/
その他
指差しコミュニケーションパンフレット
PLAYWORKS
指差しコミュニケーションパンフレットは、聴覚障害者や外国人の方など、声でのコミュニケーションが難しい方との“会話”をサポートするツールです。「はい/いいえ」「◯◯がしたい」といった基本的なことばや、施設・サービスについて尋ねることばを指差すことではじまる、気軽なコミュニケーションを実現します。

https://playworks-inclusivedesign.com/communication-pamphlet
ダイアログ・イン・サイレンス
ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
音のない世界で、言葉の壁を超えた対話を楽しむエンターテイメント、それがダイアログ・イン・サイレンス。体験を案内するのは、音声に頼らず対話をする達人、聴覚障害者のアテンドです。参加者は、音を遮断するヘッドセットを装着。静寂の中で、集中力、観察力、表現力を高め、解放感のある自由を体験します。そしてボディーランゲージなど、音や声を出さず、互いにコミュニケーションをとる方法を発見していきます。たとえ母国語の異なる人であっても、想像以上の交流が深まります。

スターバックス コーヒー nonowa国立店
スターバックス コーヒー
この店舗は、聴者と聴覚に障がいのあるパートナーが共に働き、多様な人々が自分らしく過ごし活躍できる居場所の実現を目指した、スターバックスのダイバーシティ&インクルージョンを象徴する店舗の一つです。スターバックス コーヒー ジャパンのCEO、水口貴文は以下のように述べています。「店舗のコンセプトは“Infinite Possibilities(無限の可能性)”。私たちパートナーの夢を店舗という形にしました。聴覚に障がいのあるパートナーやお客様にとって、ありのままの自分で居られる場所であり、障がいのある若者にとって夢や未来を描ける場所、そしてこの店舗を訪れた誰もが新たな気づきを得られる場所になればと考えています。」


https://stories.starbucks.co.jp/ja/stories/2020/inclusion-diversity-signing
グラツナ 聴覚障害者のための求人サービス
方角
グラツナでは聴覚障害当事者1個人と1企業がスムーズにマッチングできる体制を整えます。当事者のヒアリングを元にした聴覚障害者の求人専用の求人テンプレートを掲載する求人サイトをオープンいたします。更に就業前の基礎知識研修などの「受入準備プログラム」、就業後も企業向けに適切な配慮と適宜アドバイスを行う「アフターサポートプログラム」もご提供してまいります

みなさんいかがでしたでしょうか? 実用化させているものから、開発中のものまで沢山の取り組みがありますが、これらによって聴覚障害者が暮らしやすい社会が少しでも実現されることを期待しています!
CASE STUDY|視覚障害者をテクノロジーで支援するサービス・プロダクト・アプリ
https://playworks-inclusivedesign.com/column/column-2186/

CASE STUDY|発達障害者を支援するサービス・プロダクト・アプリ
https://playworks-inclusivedesign.com/column/column-6969/
