PLAYWORKS INTERN INTERVIEW 09|竹田遥

PLAYWORKS インターンインタビュー9 竹田遥 憧れたのは、誰もがフェアな世界。

PLAYWORKSのインターンは、クライアントワークやプロジェクトに関わる中で、インクルーシブデザイン・サービスデザイン・ワークショップデザインについて学んでいます。今回は2023年8月からインターンとして活動している、竹田遥のインタビューをお送りします!

 

竹田 遥  HARUKA TAKEDA

東洋大学 社会学部 社会学科 4年
大学1年次よりパラスポーツに関するボランティア団体に所属。今では学業と並行してゴールボールの広報活動を担っている。小学生時代は一輪車の競技・パフォーマンスに打ち込み、フルマラソンを2時間30分台で走り切った経験も。中学時代から英語・国際交流などにも高い関心を持っている。

左:竹田遥 右:インタビュアー 大崎博之

 

まずは竹田さんのことを簡単に教えてください

私は東洋大学の4年生で、社会学について学んでいます。コロナ禍での入学だったためキャンパスで友人と交流する機会が少なかったこともあり、ボランティア関係の学生団体に所属するなど学外の活動にも力を入れてきました。この2年ほどは、パラリンピック競技の1つであるゴールボールの普及活動や選手のサポートにも携わっています。

私がパラリンピックに関心を持ったきっかけは、小学生の時にテレビで見た「ロンドン2012パラリンピック競技大会」です。人種や国籍、障害すらも関係なくフェアにスポーツで勝負する平和の祭典に、憧れのようなものを抱いていたのだと思います。

「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」では、可能であればボランティアで関わりたいと思っていたのですが、当時は高校生だったため参加ができず。せめて応援だけでもと思いましたが、無観客での開催とのことで悔しい思いをしました。こうした経験が、今の活動を支えるモチベーションにつながっています。

 

PLAYWORKSでインターンをはじめたきっかけは?

SNSでたまたまインターン募集の投稿を目にしたことがきっかけです。インクルーシブデザインという言葉はまだ知らなかったのですが、Webサイトを見ているうちに、世の中の「しょうがないね」を解消する手段になるのではと感じたんです。

というのも、私は車椅子ハンドボールの選手との交流があり、一緒に電車で移動したり食事に出かけたりすることもあるのですが、そのたびに歯がゆくなることがありました。バリアフリーと書かれたレストランであっても店内に段差があったり、混雑状況によってはそもそも入店させてもらえなかったり。選手の皆さんは「しょうがないね」と明るく振る舞っているのですが、私にはそれが心苦しくて。世の中にはまだまだバリアが多いんだなと実感していたので、PLAYWORKSのインターンを通じて解決の糸口が見えるのではと考えました。

ただ私の場合、インターンの募集を知ってから実際に飛び込むまでには3ヶ月ほどの時間を要しました。すでに参加している学生インターンの記事を読んでみると、デザイン専攻の方が多い印象で少し気後れしてしまったんです。デザインのスキルもないのに大丈夫かなって。それでも勇気を出して参加したのは、就職活動で感じたジレンマがきっかけでした。

障害者向けの支援をしている企業であっても、障害当事者が感じている孤独感と十分に向き合えていないのではと感じたことがあったんです。すべての企業がそうであるとは限りませんが、ビジネス活動と共存していくことの難しさを感じたのは事実でした。だからこそ、PLAYWORKSは本当の意味で障害者と向き合えていると感じ、インターンに飛び込むことを決意しました。

 

PLAYWORKSでは具体的に何をしているのですか?

活動の1つに、ワークショップやイベントに同伴してタキザワさんのアシスタントやお手伝いをすることがあります。私は2023年8月からインターンに参加していますが、PLAYWORKSのWebサイトに公開されているものだけでも、1年間で3つのイベントで役割をいただきました。

筑波大学 支援技術マッチングイベント

FRAGRANCE DIALOGUE ワークショップ

企業とのプロジェクトでは、株式会社サンシャインシティとの「合理的配慮ワークショップ研修」や、日本IBM株式会社の「ココテープWORKSHOP」でアシスタントとしてサポートをさせていただきました。

日本IBM × ココテープ WORKSHOP

ほかには、オンラインでの定例ミーティングがあります。インクルーシブデザインに関するニュースなどをインターン生が取り上げ、それに対して議論をしています。

定例ミーティングは毎週なので、情報収集もだんだん難しくなってきます。そもそも「インクルーシブデザイン」という言葉がまだ浸透していないため、検索の母数が多くありません。ほかのキーワードと組み合わせて検索するなど、リサーチ力が磨かれていっていると感じます。

 

PLAYWORKSで印象に残っている活動や出来事は?

視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド2023」では貴重な経験ができました。3日間すべてに参加したのですが、展示ブースで説明を繰り返しているうちに「適切な説明」の難しさを痛感しました。

例えば視覚障害者の方に対して、「あれ・これ・それ」などの指示詞が多いと不親切になってしまいます。また年1回の大きなイベントなので、来場する皆さんは少しでも多くの製品に触れたいと思っているかもしれません。「できるだけ短く説明してほしい」とオーダーをされることもあれば、反対に「短い説明じゃわかりにくいから丁寧に説明してほしい」という声もありました。相手が異なれば求められることも変わる。ニーズに適切に対応することの難しさは、大変でありつつも学びの多い時間となりました。

視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド2023」

あとは、タキザワさんがファシリテーションするワークショップの進め方も印象的でした。一言で表すのは難しいのですが、障害者の方が体験している世界を「教える」のではなく、自分で「気づいてもらう」ためのプロセスが緻密に設計されているんです。自分が感じたこと・発見したことは忘れないと思いますし、日常生活の中で思い出すこともあるかもしれません。参加者の意識を変えるためのワークショップデザインは、とても勉強になることばかりです。

 

インターンを通して得られたことは何ですか?

視点を変えることの大切さ、視野を広げることの大切さを学ばせてもらっています。定例ミーティングでほかのインターン生の視点を知ることは発見が多く、タキザワさんのフィードバックからはこれまで考えたこともなかった視点を得ることができます。

今でも記憶に残っているのは、一見すると障害者のためのものと思われる取り組みが、よくよく考えてみると障害当事者にとって一切メリットがない企画だったこと。以前の私であれば、「ニュースで取り上げているのだから、きっと素晴らしい活動に違いない」と思い込んでいたかもしれません。1つのアクションに対して多面的に捉えて考えることの重要性を学びました。

また、企業との商品開発のプロジェクトについて、継続的に関わることができたのは何ものにも代えがたい経験です。私は実際に、視覚障害者歩行テープ「ココテープ」の企画からユーザーテスト、クラウドファンディング、一般販売までのプロセスをリアルタイムで見ることができました。ビジネスの現場を間近に見れるのは、なかなか学生のうちに経験できないと思います。

 

PLAYWORKSはどんな会社ですか?

「楽しむこと」を大切にしている会社だと思います。それが反映されているのか、リードユーザーの皆さんはいつも楽しそうにイキイキしていて、輝いているんですよね。

私は障害者の方の輝き方にもいくつか傾向があると考えているのですが、私が触れる機会が多かったのは広告塔としての輝き方でした。パラスポーツの選手との交流が多かったからか、私はどうしても外向きの見せ方に意識が向いてしまっていたんです。

でもPLAYWORKSのインターンを通じて、新しい世界を見ることができました。障害者の方と共にアイデアを考え、プロダクトを生み出し、社会を変える。もしくは、たった一人の人生を変えるための活動があることを知りました。一言で表すのは難しいのですが、これがPLAYWORKSという会社に対する私の印象です。

 

これから挑戦したいことは何ですか?

今まではゴールボールの広報活動を軸に、健常者の方に対して体験会を実施してきました。パラリンピック競技としての認知を健常者の方にも広げることが目的だったのですが、それだけではPLAYWORKSのインターンで学んだことを活かしきれません。そこで、これはまだアイデア段階なのですが、ココテープをゴールボールの体験会で使わせていただくといった取り組みができないかを検討しています。

PLAYWORKSでは「ロービジョン体験キット」という、ロービジョンの見え方(コントラスト低下・視野狭窄・中心暗点)を疑似体験できるメガネを開発しています。うまく組み合わせることで、ココテープの重要性や点字ブロックがない通路を歩くことの困難さを知ってもらうことができるかもしれません。タキザワさんがこれまで見せてくれた、気づきを促すような支援ができたらと考えています。

 

未来のPLAYWORKSインターン生に対してメッセージをどうぞ!

私も最初は「インターン」という言葉にハードルの高さを感じていました。デザイン専攻ではないですし、学んでいることも違うため「インクルーシブデザインに対する情報感度に差があるのでは」と不安になったりもしました。しかも私がインターンを始めた時期は、修士のメンバーしかいなかったので余計に躊躇してしまいました。

でも改めてインターンを経験して感じたのは、デザイン専攻じゃなくても気後れする必要はまったくないし、むしろ視野を広げたいと思うのであれば積極的に参加したほうが良いということでした。今は学部生のメンバーも増えているので、年齢的な抵抗も感じないと思っています。私はインターンに参加することができて本当に良かったと思っているので、少しでもインクルーシブデザインに興味があるのなら、ぜひ飛び込んでみてください!

 

 

PLAYWORKS INTERN INTERVIEW 08|山田和佳

PLAYWORKS インターンインタビュー8 山田和佳 多様な世界に、飛び込み見続けたい。

https://playworks-inclusivedesign.com/column/column-6803/